それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

池袋演劇祭に参加する際に気をつけてほしい5つのこと

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池袋演劇祭というのは東京都豊島区で毎年9月に開催されている演劇祭です。

演劇関係者や地元民ですら「へー、そんなのあるんだ」というリアクションが大半を占める超マイナーなイベントですが、なにげに今年でもう30回目になるそうです。

 

ざっくり言うと、

  • 対象の劇場を劇団が自力で予約。
  • 公募の審査員約100人が各公演に10人ずつ割り当てられ、各10点満点で審査。
  • 約50団体中上位10団体ぐらいが何らかの賞を受賞。

というものです。

 

僕は劇団を主宰していた頃、この池袋演劇祭で「大賞」(最優秀賞)を取ったことがあるので(・∀・)、恥ずかしげもなく先輩風を吹かせて、これから演劇祭に参加する劇団さんにアドバイスを送ってみたいと思います。

 

 

 

①劇場は早めに押さえてしてください

池袋演劇祭のシーズン(毎年9月)はどこの劇場も通常より早く埋まります。

2019年の池袋演劇祭に参加したい場合、2019年1月から劇場を探し始めても手遅れです(たぶん)。

前年の夏頃にはどこの劇場を申し込むか決めておいたほうがいいです。

予約開始時期や予約金は劇場によって異なるので一つ一つ確認してください。

 

②共通パンフレットを重視してください

池袋演劇祭では全劇団の公演情報が網羅された共通パンフレットが作成されます。

例年通りなら5月下旬に写真やテキストを提出するよう指示されます。

 

共通パンフは、自分たちに興味のない人が自分たちの情報を見る貴重な機会です。

普段のチラシと同じノリで「自己表現」をすべきではありません。

その文章で本当に内容を観たいと思えるかどうか、よく吟味してください。

 

③公式サイトは審査員説明会を目安に整備してください

審査員説明会(例年だと7月下旬)の時点で、劇団の公式サイトで参加作品の情報が閲覧できるようにしておいてください。

説明会の日に審査員は「どの劇団があなたの担当です」と指定されます。

仕事の早い真面目な審査員はその日のうちに割り当てられた劇団のサイトを検索して予約するので、この時点で公演情報や予約方法が掲載されていないとダメです。

 

池袋演劇祭は毎年必ず、劇団から「指定審査員が来ない」というクレームが出ます。

これはもちろん審査員のほうが悪いのですが、クレームは予約受付態勢を盤石にした上で言うべきです。

 

④CM大会を重視してください

のど自慢のように、持ち時間2分で参加劇団が演目のPRを行うイベントです。

これが大事な理由は②と同じです。

池袋演劇祭をきっかけに動員を増やしたければ、チャンスは共通パンフとCM大会の2回しかありません。

参加するだけで豊島区民がぞろぞろ観に来るなんてことは絶対にないです。

 

例年通りなら、CM大会はサンシャインシティの噴水広場で行われます。

相当の人通りがあるところなのですが、はっきり言ってしょっぱいCMが多いです。

 

現代の日本は安価でクオリティの高いエンタメで溢れています。

家で酒飲みながら金曜ロードショーを見るよりも劇場に行ったほうが有意義そうだと思えるCMになっているかどうか、シビアに考えてください。

 

⑤受賞を目標にしないでください

前述の通り、池袋演劇祭の知名度はめっさ低いです。

受賞した途端に注目度が急上昇したり動員が急増したりなんてことはありません。

あくまで経歴の一つになるだけです。

 

どうやら豊島区には池袋演劇祭を若手劇団の登竜門にしようという意図はさらさらなく、地域で若者たちが文化的っぽいことをしてればOKというスタンスです。

演劇祭を足掛かりに自力でステップアップしていこうという計画ならまだよいのですが(何を隠そう我々もそうでした)、池袋演劇祭での受賞がなまじわかりやすい目標である分、その先の目標がふわっとしがちです。

 

②や④は動員を伸ばして劇団を大きくする方針という前提で書きました。

しかし、動員にこだわらず、自分たちの表現を追求するのも立派な活動です。

 

動員は「できれば伸ばしたい程度」なのか、それとも「2年以内に2000人越えなきゃクソ」なのか、そこらへんは早めに明確にしておいたほうがいいと思います。