それにしても語彙が欲しい

生活の中で考えたことや、感銘を受けた作品のレビューなどを書いていきます。毎週土曜日(&気まぐれ)24:00頃更新。

ノベルジャム2018全作品の感想+α

f:id:moriyamatomohito:20180308141630j:plain

ノベルジャム2018、他の著者さんたちが書いた作品を一通り読んでみました。
「良いことを一言だけ」に統一したので、毒にも薬にもならないというか、ホンマに読んどるんかいという風に見えるかもしれませんが、平等を期したものなのでご理解ください。
  • 根木珠さん『ひつじときいろい消しゴム』……物事をいつも理詰めで考えてしまう人には良い薬になると思います。
  • 藤崎いちかさん『平成最後の逃避行』……逃避行の始まり方がすごくなめらかでよかったです。
  • 渡鳥右子さん『味噌汁とパン・オ・ショコラ』……主人公の人物像が親しみやすくてよかったです。
  • 金巻ともこさん『僕は彼の肉になる』……書き出しが世界に入っていきやすくてよかったです。
  • 高橋文樹さん『オートマティック クリミナル』……シーンの移り変わりにスピード感があってよかったです。
  • アンジェロさん『魔法少女リルリルリルリと俺の選択』……トラックとの対決に迫力があってよかったです。
  • 冨士山絢々さん『舞勇傅』……展開の速さがよかったです。
  • 飴乃ちはれさん『たそかれ時の女神たち』……きちんとした地の文と軽快な台詞のバランスがよかったです。
  • 天王丸景虎さん『バカとバカンス』……ゆとり視点のターンにすごみがあってよかったです。
  • 牧野楠葉さん『ユキとナギの冒険』……思考も情景も密度が高くてよかったです。
  • 山田しいたさん『DIYベイビー』……深みがあるのにくだけていて、すごく好きな文体でした。
  • ふくだりょうこさん『REcycleKiDs』……切迫感を出そうとせずむしろ隠そうとしていたところがよかったです。
  • 腐ってもみかんさん『怪獣アドレッセント』……「本当ごめんね!」っていうセリフが真に迫っていてよかったです。
  • 寧花さん『グッバイ、スプリング』……ケイが「僕」でマスターが「俺」というところがよかったです。
  • 渋澤怜さん『ツイハイ』……MARUTOに執着しすぎなところがよかったです。
 
他の方がもっと有意義な全感想を書いていらっしゃるのでリンクを置いておきます。

 
以下、ちょっとだけネタバレを含みます。
 

納得の優秀賞

優秀章に輝いた2作品『バカとバカンス』ユキとナギの冒険は、やはり頭一つ抜けていました。
合宿最終日の審査会で圧倒的に人気だったとのことですが、

審査員の布陣をごっそり入れ替えても、この2つが下位に来ることはまずないだろうと思います。

 
「広さ」が違いました。
優秀賞2作品には「広大で緻密な世界の一部を切り取ったもの」というオーラがあります。
設定のスケールとかの問題ではなく。
 
僕の『その話いつまでしてんだよ』も、舞台となっている事務所の外にも触れてはいます。
しかし、優秀賞2作品には、描かれている舞台の外にも世界が広がっているということを「自然に」感じさせる力があり、その点で僕の作品は明らかに劣っていると思います。
完成度とか圧力では負けていないつもりですが……
 

 

 

個人的イチオシ

山田しいたさんの『DIYベイビー』です。

この作品はしばしば「長編で読みたい」と言われているようですが、僕はそうは思いません。

ちょうどいいところで終わっています。

というかスタートが強力すぎるので、これを失速・マンネリ化させずに長編化できたら相当ヤバいです。(つまり読めるものなら読んでみたいです)


何がいいかっていうと、とにかく文体です。
知性と自嘲が同居しています。
 
僕は初めて書いたラノベ的な作品について「主人公の一人語りを延々聞かされるのがキツいと批評されたことがありまして、それは本当にその通りだと思って反省しているのですが、読み手として「頭のいい人物の思考を延々なぞりたい」という根本的な欲求があるんですね。
DIYベイビー』はまさにその欲求を満たしてくれる作品でした。
 
※同様の理由から、森見登美彦さんの作品が好きです。
 
 

男女の違いを感じた

先日の記事『原稿用紙のルールも守れない人が面白い話を書けるはずがない』で紹介した漫画へのリンクをもう一度貼ります。


僕が男性脳でありすぎるせいだとは思いますが、全作品を読んで、「女の人の書いたものは基本、女の人向けなんだな」と感じました。
これは批判とかではなく、ほとんどの雑誌が男性向け女性向けにハッキリ分かれているのと同じで、ごく自然なことだと思います。
表紙のデザインも、女性向けは女性向けだとハッキリしてるのが多いなと思いました。
(普段ならまず手に取らなかったであろうものを吸収できてよかったなと)
 
女性の著者さんの作品で「別に女性向けではない」と感じたのは、『ユキとナギの冒険』と『ツイハイ』だけでした。 
 
一方で一番男臭いなと(良い意味で)思ったのは、『怪獣アドレッセント』です。
「一回やらせてよ」じゃなくて「脱いだパンツちょうだいよ」なのだというところに強い矜持を感じました。
漢やん、っていう。

 

『その話いつまでしてんだよ』の感想まとめ

以下、僕の作品に対する感想等をまとめさせていただきます。