それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

シン・ノベルジャム2018体験記

ノベルジャム2018体験記【前編】では主に作品の審査について、

同【後編】では「自分が編集者ならどうするか」ということについて書きましたが、

実は著者としての体験記がまだでした。

というわけで遅ればせながら著者としての体験記、もとい「個人的すぎて他の人にはどうでもいいかもしれない反省レポート」を書いていきます。

来年の参加者さんに何らかのヒントになればと思っています。

 

 

 

戦略的勝利と戦術的敗北

僕は一応ライティングのお仕事をしているので、一日中書き物をしている日も珍しくはありません。

そこで、ノベルジャム2018には「なるべく普段通りの生活を保つ」という作戦で臨みました。

この基本戦略はおおむね成功したと言えますが、戦術レベルでいくつかの失敗をしています。(銀英伝の影響をモロに受けた表現ですね)

以下、具体的に反省点を挙げていきます。

 

✖ 友達を作ろうとしなかった

初日の朝、北野駅の改札でキャリーをごろごろしている人を見かけました。

さてはノベルジャムの参加者か! 思い切って声をかけてみようか!

でも違ったら恥ずかしいしなーと思っているうちにバスが来てしまいました。

まぁここまでは反省点というほどのものではありません。

 

問題はバスを降りてからです。

会場の大学セミナーハウスに向かう人々はどう見てもノベルジャムの参加者です。

会場内に知り合いが一切いない僕にとって、知り合いを作る重要な局面でした。

が! もじもじと歩いているうちに会場に着いてしまいました。

 

ここで声をかけたからといっていきなり友達になれるわけじゃありませんし、ウマが合わない可能性だって全然あるわけですが、声をかけること自体はほぼノーリスクでやれたはずです。

リアルな話、僕は友達が少ないので、今後の人生のためにも勇気を出すべきでした。

 

イベントが始まってからは作品が最優先になり、友達どうこう言っている場合ではなくなりましたが、チーム内でのコミュニケーションにも僕は正直消極的だったと反省しています。

とにかく自分が面白いものを書けばいいんだという気持ちが見え隠れしているというか、なんかどうも無難な会話に終始してしまった感じです。

後日のFacebook上のやりとりのほうがみんな遥かに雄弁で、「こんなにみんな色々考えてるなら会期中にもっと話せばよかった」と思ったのでした。

 

✖ バランスボールを持っていかなかった

僕は普段、バランスボールを椅子として常用しています。

姿勢が崩れないわ眠くならないわ疲れたらエビ反りもできるわで、まさにいいことづくめです。

もう絶対に手放せません。

こいつをノベルジャムの会場に持っていくか、直前まで悩みました。

そして、結局断念したのでした。

 

クリエイターは「作品」に個性を全振りすればいいのであって、日常の挙動にはみ出させるのは無駄遣いと、僕は思っているところがあります。

(生活全体が作品な人をディスるつもりはありません)

 

すなわち「バランスボールに乗ったりなんかして無駄な自己アピールをしている奴に面白いものなんか書けるわけがない」と思われたくなかったのです。

何ともまあ気の毒になる自意識過剰ですね。

 

規約として持ち込み自由で、バランスボールに乗ったほうが力を発揮できるんだから、迷わず持っていくべきでした。

他人の目を気にしすぎです。

 

✖ 3日目の朝に寝坊した

これはただの大ポカです。

明日この時間に来ますねと言っていたのに、30分近く遅刻してしまいました。

もうほぼ提出できる状態になっていたとは言え、約束は約束です。

本当にすいませんでした。

 

〇 ラジオ体操と長風呂をした

僕は健康のためにラジオ体操の第一・第二と、「ナイファンチ」という空手の型を毎日の習慣にしています。

あと、長風呂で強制的に心拍数を上げて思考を加速するのが一種のルーティンです。

この二つを守れたのは良かったなと思っています。

 

✖ 誰に読んでほしいのか考えていなかった

これはノベルジャム2018の反省にとどまらず、今後の創作活動の課題とも言えます。

 

大前提として、決して大げさでなく「全部の世界中の人に読んでほしい」と思っているわけですが、リアルな話、そんなことはあり得ません。

届けたい読者層はいて然るべきです。

 

これまでは、劇団で脚本を書いていた時代も含めて「物事を突き詰めて考える人」に読んでほしい(観てほしい)と思っていました。

けれども、これでもまだ相当アバウトなのです。

マーケティングのプロに言ったらきっと「はあ~?」と返されるでしょう。

 

この作品を誰に届けたいのか。

それを考えるのはもしかしたら編集者の領分なのかもしれません。

が、著者自身が誰向けなのかふんわりしたままでは、作品も虚空を斬り続けることになるんではないかなあと思い始めています。

 

〇 速攻で数作品買って読んだ

3日目のプレゼンの直後、気になった作品をいくつか即買いして、その日のうちにBCCKSでレビューしてみました。

この作業を急いだのは「翌日以降にはきっと面倒になるだろうから」です。

結果、大正解でした(・∀・)

でも今抱えているタスクが落ち着いたら絶対に全部読みます。

 

参加者同士ぐらい無料で読み合えたらいいのに……と最初は思っていましたが、販売も含めてのノベルジャム、参加者にも身銭を切らせる仕様は主旨に沿うものだったのです。

どうせ全買いするとは言え、真っ先に読みたいのはどれか考えて、実際に購入するという経験はなかなか貴重なものでした。

 

3日間を通じて一番嬉しかったのは

デザイナーの杉浦昭太郎さんが僕の原稿を読んでいる時、本当に心からという声で「おもしれえー」とつぶやいてくれた時です。

我がCチームはなんだかんだでみんないい人で、作品に対してポジティブでしたが、その時の杉浦さんの声はガチで不純物なしの本音という感じがしました。

ああいう反応に立ち会えただけでも、参加して本当によかったなと思っています。

 

というわけで

振り返ればこまごまと反省点はあれど、『その話いつまでしてんだよ』は、納得して送り出した作品です。

改稿版は「修正版」というより、変化を楽しんでもらおうと思って出しました。

さらに言えば、今後、『続編』も鍵付きで発行する予定です。

216円という金額に見合うコンテンツにじわじわと育てていきますので、ぜひお買い求めくださいませm(_ _)m

●Kindle版

●BCCKS版