即興で書いたものに値段を付けていいのだろうか
ノベルジャムは「2泊3日の短期集中で作った本を216円で売るぞ」というイベントです。
2月14日にこのような記事が出ていました。
New Honkure Posting:NovelJamの本売りについて考えたこと https://t.co/PkZTeQFvbt
— 倉下 忠憲 (@rashita2) 2018年2月14日
どれだけ著者が魂を込めたとしても、やはり二泊三日という時間はそれほど長くはない。他の商業出版の小説が、数ヶ月あるいは数年の時間をかけて一冊の本を作り出しているのだから、それらと横に並べてしまうと、「う〜ん」という感じにはなってしまうだろう。何しろ推敲という過程は、本格的にやれば随分と時間がかかる作業なのだ。よって、そこではやはりコンテキスト込みの受容が必要なはずである。
そう考えると単品でアピールするよりも、NovelJam作品の一作としてアピールした方が、全体的に具合の悪い情報摂取は減るように思う(変な評価をされにくい)。
こちらの記事に対する自分なりのアンサーとして、トークメーカーでセールストークを作ってみました。
※電子書籍でなく一般書籍として売り込む設定です。
本来なら「具合の悪い情報」は伏せるべきなのでしょうが、あえて丸出しにしています。
並んでいたら受賞作品を選ぶ
最終日の講評では「審査が絶対ではない」という主旨のことをかなり念入りに言っていただいたと記憶していますが、外から見れば審査結果が余裕で最強だと思います。
選ぶ時間も読む時間もたっぷりある人なら、表紙やあらすじをじっくり見て検討してくれるかもしれません。
しかし、僕が一般人としてどれか買うとしたら、ノータイムで最優秀賞受賞作品だけを選びます。(今回は最優秀賞該当なしなので、優秀賞2つを買います)
- 2泊3日で作った本に216円という値段を付けていいのか?
という問いに対しては、
- 高い倍率の中から選ばれた新進気鋭の作者が書き、全16作品の中でベストと評価されたものならその価値がある。
という答えが単純かつ強力です。
よって、非受賞作品が「ノベルジャム作品の一作としてアピール」するのは、「受賞作品にお客を持っていかれてしまうリスク」が結構あると考えます。
首都圏でパチンコ屋のCMがほとんど流れないのは、「他店に駆け込まれるリスク」もあるからだと言われています。
この一覧表がすごい!
僕は優秀賞の『バカとバカンス』と『ユキとナギの冒険』がやっぱり優れていると思っていて、そちらにお客を持っていかれても一向に構わないので、全作品をまとめた秀逸な記事を紹介します。
ノベルジャム2018参加作品と関連情報を見比べる上で大変便利です。
受賞作品が売れるとは限らない
さて、上に書いたリスク云々は理屈の話であって、受賞作品が売上トップになるだろうという予想ではありません。
売上に影響するのは俄然、著者の元々の知名度だと思います。
僕はTwitterのフォロワー数だけを見ると全著者の中で実は多いほうなのですが、これはほとんど元劇団主宰者としての数字であり、小説家として注目してくれている人は本当にごく少数です。
この「越えられない壁」をどうやって越えるかが面白味でもあるんですけどね。
Cチーム編集の米田さんからは「思いついたことはどんどんやっていきましょう」という方針を示していただいているので、気ままにトライとエラーをしている次第です。