それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

本当に完全にまったく意味のないこと

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今回も劇団時代の話です。

劇団時代の話はもうしないと何度か言った気がするのですが気のせいでしょうか。

乗り越えているつもりで立ち止まっている気がしてなりません。

まぁそんなことは置いておきましょう。

 

「当日精算券」というものを見たことがある方はいらっしゃるでしょうか。

 

その名の通り、当日に精算する券です。

受付にその券を提示して料金を支払うという意味不明な物体です。

券というのは料金を支払った証拠として手渡されるものであり、そのアイデンティティを完全に喪失しているのが当日精算券です。

 

日時が指定されている「引換券」なら意味があります。

しかし、僕が今話題にしているのは、日時の指定などない、ただ受付に持ってこさせるだけの謎の紙切れです。

 

そんな不思議100%の紙クズを、僕たちは劇団創設からしばらくの間、DMに封入していました。

(ということを過剰なストレスの中でふと思い出したのでした)

 

もう一度言います。

当日精算券には何の価値もありません。

支払い済みの証明でも座席確保の証明でもありません。

ガチでただの紙です。

 

では、そんなものを何故我々はDMに入れていたのでしょうか。

それは、

  1. 流通していたから
  2. よくわからないけれど「チケット」という物体が劇場へ足を運ぶ動機になるらしいと誰かが(たぶん)言ったから

です。

 

ウソみたいな話ですが、少なくとも1.は本当です。

演劇の公演を見に行ってアンケートに住所を書くと、当日精算券の入ったDMが送られてきました。

最近はすっかり見かけなくなりましたがその頃は確かにありました。

ウロ覚えですが2.も本当です。

 

「これ意味あるんか……?」

と、さすがに当時の僕たちでも思ったはずです。

でも結局、

「みんなやってるし、まったく無意味ってことはないんだろう……」

というところに着地して、わざわざ「当日精算」というスタンプと青のスタンプ台を買ってきてチマチマ捺していたのです。

 

しばらくして当日精算券はDMで見かけなくなり、自分たちも入れるのをヤメました。

つまり、やっぱり何の意味もなかったのです。

スタンプが捺してあるとは言え精算済みの券と紛らわしいし、チケットという物体が観劇の動機になるとかいう話に何の根拠もありません。

さらに言えば、満席の回に当日精算券を持った人が来たらどうすんねんという超構造的欠陥もあります。

 

何が言いたいかというと、

  • とにかくやれることを全部やってみれば何らかの光明が見出せる

という考え方をしている人へ、

  • その中には本当に完全にまったく意味がないし何なら逆効果の可能性すらあることが結構な確率で含まれている

と、声を大にして申し上げたいわけであります。