タイトルは半分釣り、半分本気です。
今回は国や都の政策に対する反論ではなく、「こういう側面が存在しますよ」というただの現場報告です。
一昔前は「稽古も公演も上手い酒飲むためにやってる」という山賊のような輩がいたようですが、おそらく現代ではほぼ絶滅しています。
若い演劇人は真面目な人が多数派です。
感染者を出さないために、稽古後に飲むな、打ち上げやるなと言われれば、しっかり守るでしょう。
そもそも飲まない人も増えてきていますし、個人的にも酒の席で作品の話をするのは好きじゃありません。
稽古後の飲みの席でなんか話が進んでるやつもこの機に滅びてほしいものです。
— 森山智仁 (@bacoyama) 2020年7月17日
観劇ファンもマナーの良い方がほとんどです。
みんなマスクをして、たまに笑い声は上げるかもしれませんが、基本的に一言も喋らないまま帰っていきます。
公演内容なんてどうでもよくて終演後のチェキや握手会がメインイベントという興行も結構ありますが、チェキや握手会なしでも何とか成立してるっぽいです。
断片的に見てきた範囲ですし、おそらく赤字でしょうけど。
今回言いたいのは、
- 客席間引いてるから観測しにくくなってるけど
- 握手会(役者との交流)とか観劇後の飲み(仲間との交流)抜きで、純粋に作品だけに興味があって舞台を観に行く人間は限られている
ということです。
知り合いから告知のLINEが来た時、
- 出演者に知り合いが「複数」いるか否か
- 一緒に観に行く友達はいるか否か
というのが、実際観に行くか否か、ジャッジする重要な要素となります。
ぶっちゃけ作品には毛ほども興味がわかなくても一緒に観に行く友達がいる(=飲み会の口実になる)なら予約します。
演劇人としてすごくレベルの低い話をしているかもしれませんが実際そうだと思います。
演劇は、やってる側からすると「表現活動」ですが、観る側からすると「お出かけ」の一種なのです。
仮に「劇場はリスク低いし対策やってるからフル客席で遅くまでやっててもいいよ」となっても、観劇後の飲みがNGなら、どこのカンパニーもチケットの販売は伸び悩むでしょう。
脚本とか書いてる立場からすれば、純粋に作品だけに興味を持ってほしいという気持ちは勿論あります。
しかし、まぁ、現実はなかなかそうはいきません。
映画の宣伝も「作品」より「主演」を前に出すやり方が一般的です。
このエンタメ飽和時代、
- 推しに会えるとか友達と飲めるとか「誰かと関われること」が重要
- 作品にはあまり期待してなくて、面白かったらラッキー
なのです。
その「誰かと関われること」がまさに推奨されていないのが今の世の中です。
制限付きでも上演できるなら解決、とはなりません。
gotoトラベルが旅館だけではないように、gotoイートが飯屋だけはないように、演劇も表現者と鑑賞者の単線の構図ではない――という話でした。