それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

日光登山記【後編】

前編の続きです。

 

二荒山神社中宮祠〜男体山の道のりが、丹沢大山のケーブルカー不使用版、あるいは大倉〜塔ノ岳のバカ尾根に匹敵するしんどいルートであることは、高低図を見てわかっていました。

そんなのをピストン(往復)するのはやだなという気持ちもあって戦場ヶ原から回り込むルートを選んだわけですが、行ってみたら若干ヤバみのある道でした。

 

yamahack.com

こちらのサイトの②では、

・登山経験、地図読み能力があることが望ましい

となっていますが、2020年10月現在、僕は、

  • 登山経験、地図読み能力は必須
  • 道に迷いかけた経験のない人は行かないほうがいい

と考えます。

 

スタートの三本松(僕は一つ手前の赤松から歩きました)から志津峠まではなんてことのない林道で、急登に入る前の長い準備運動としてちょうどいいです。

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※ヤマケイのコースタイム付き地図だと梵字飯場跡に水場マークがありますが、僕の見落としでなければ、今はなくなっていました。

 

志津小屋(無人)からの道がまあまあ危険です。

あまり歩く人がいないせいか、荒れて歩きにくい上、一合目〜五合目あたりは赤テープ(目印)の間隔が遠く、どこが道なのか判別しにくくなっています。

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五合目を超えると崖が迫るので道迷いの心配はほぼなくなりますが、

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七合目〜八合目の間にあるトラバース(斜面の横断)はちょっとスリリングです。

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この写真ではいまいち傾斜が伝わりませんが、とにかく足を滑らせたら一気に遥か下まで落ちていくことになります。

しっかりロープを握って行かないと危険です。

 

即死ポイントはそのトラバースぐらいですが、とにかく一合目〜五合目が迷いやすいです。

先ほどのサイトは僕がやったのと逆、つまり中宮祠から登って戦場ヶ原に下りてくる道として紹介しており、実は志津小屋の貼り紙にも、

「こちら側から登るのはおすすめしません」

的なことが書いてありましたが、僕はむしろ、

「こっちへ下りてくるほうがずっと危なくない?」

と考えます。

 

理由は以下の通りです。

  • 遭難の7割以上が下山時に起きている事実(登りは最悪迷っても登れば山頂には出られる)
  • 中宮祠からの長い急なガレ場を越えて疲れている上、どうしても幾分かは気が緩んでいる
  • 万が一日没してしまった場合、ヘッドランプであの目印を見つけていくのは難しそう
  • ついでに言えば、志津峠〜三本松の長くて単調な林道は下りで歩いてもあまり楽しくなさそう

 

さて、九合目を越えると、雲の上でした。

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やはり雲海が見えると感動します。


ずっと曇りの予報だったのに、日頃の行いが良いのか登頂と同時にいきなり晴れてきて、

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中禅寺湖を見下ろすことができました。

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厨二心がうずく剣や、

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大神を拝むなどして、

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餅入りチキンラーメンをこしらえて昼食(写真なし)。

風が吹いて寒さを感じたので、ここから八合目へ下りるまでフリースを着込みました。

なお、レインウェア上下は最初から着ていました。

 

山頂を出て、幅の広い斜面を下り切ると、大きな岩がゴロゴロする坂が延々と続きます。

やはり丹沢のバカ尾根にそっくりです。

 

きれいなお花に癒されつつ、

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転倒しないよう慎重に下りていきます。

 

途中、一組の夫婦(かな?)とすれ違いました。

この予報でもきっとピストンのルートには登山者がいるだろうと見ていましたが、この日遭遇したのは彼らだけでした。

 

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たまに雲が切れると中禅寺湖が見えます。

湖に飛び込んでいくような坂道と言えます。

紅葉の季節にはきっと賑わうのでしょう。

この細い急な道をみんながピストンすると思うと、ちょっと窮屈そうではありますが……

 

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ゴールっぽく見えるけれどここはまだ四合目。

 

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ここまで下りてきてやっとゴールです。

泥だらけになったレインウェアの下を脱ぎ、タワシで靴の泥を落とします。

 

その後、中宮祠からバスで東武日光に帰還。

ホテルで軽く仕事して飲んで寝ました。

 

現在3日目、朝のひと仕事を終えたところです。

余力は全然ありますが、さすがに麓で2mm/h以上の雨が降る予報の日に山へ行こうとは思いません。

白糸の滝あたりまでブラついて、夕方の列車に東京へ帰ります。