それにしても語彙が欲しい

脚本家・フリーライター森山智仁のブログです。毎週土曜or日曜(&気まぐれ)更新。

舞台演出の小ワザ集

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作品論とか芸術論ではなく、技術面の話です。

 

僕は誰かから演出を教わったわけではありません。

独学でやってきました。

その善し悪しはさておき、

  • 最初から知っておきたかった
  • 本とかには書いていなかった

現場で使える小ワザをまとめておきます。

 

 

 

身だしなみに気をつける

技術というより一般常識ですが、自戒を込めてこれを真っ先に挙げておきます(・∀・)

 

一番最近入った現場で、着るものに多少気をつけた結果、今までより心なしかキャスト・スタッフとの距離が近づいた気がしました。

 

従来は、

  • 人からどう思われてもいい
  • 舞台に立つのは俺じゃない

という典型的なクソ陰キャ思考でした。

稽古場が家の近くだった時は普通に部屋着みたいな服で行き来したりもしていました。

 

対人の仕事ですから、きちんとしているに越したことはありません。

 

ダメ出しの略称や記号を作る

よく使うダメ出しを記号化しておくと、メモを取る時間が短縮され、文章でダメ出しする時も手間が省けます。

場面の進行はこちらがメモるのを待ってはくれませんから、コンマ数秒でも、所要時間が短くなるメリットは大きいです。

 

例えば僕は以下のように設定しています。

  • T=言い始めるタイミングを早く
  • S=喋るスピードを上げて
  • G=声量上げて
  • 太字=少し声張ってスピードを遅く
  • 早口=早口過ぎて聞き取りにくい
  • 舌=単語が聞き取りにくい
  • 重=テンポが悪くてテンションが低い
  • P=ポジション(立ち位置)

 

僕は根性論が好きではなく、概念的なことより細かいことを言うタイプです。

同タイプの人以外には無意味かもしれません。

 

ダメ出し用のメモ用紙を作る

ダメ出しは台本の余白に書く人が多いと思いますが、

  • いちいち消さないとだんだん汚くなってくる
  • ページをめくる手間がかかる

といったデメリットがあります。

そこで、演出家自身ほぼセリフを覚えた段階になったら、「何を見るべきか」の枠を書いたメモ用紙を作っておくと便利です。

 

例えば、出演者が多い場合、「人名」を並べておくだけでも「通し稽古の後に何も言われなかった」という事態を防げます。

舞台はお客様のためのものですから、現状のキープが望ましければそれで構わないはずですが、役者は成長したがる生き物なので、何も言われないと不満や不安を抱えます。

キープでOKの時も放置せずきちんと評価するのがベターです。

 

観客に集中してほしいシーンの「前」にBGMを流す

 一般的にBGM(演劇の現場ではMと呼ぶことが多いです)は場面の雰囲気を作ったり盛り上げたりするものですが、「音楽が止まった後」の効果も案外使えます。

 

「ただの静寂」と「騒音が鳴り止んだ直後の静寂」を想像してみてください。

後者のほうが静寂みが強くはないでしょうか?

 

静かなシーンを印象づけたい時は、つい「良い曲」をかけたくなりますが、「その前までかかっていた音楽を止める」という方法もあるわけです。

 

ほとんどの暗転はブルー転に置き換えられる

暗めの青い灯りの中で転換する「ブルー転」という方法があります。

 

暗転は観客に見せたくないものを一切見せずに転換できますが、

  • 素早く動けないので時間がかかる
  • 想定外のミス(小道具を落とす等)に対応しにくい
  • 頻繁に使うと観客の集中力を切る
  • 頻繁に使うと観客の目が暗闇に慣れてきて見えるようになってしまう

といったデメリットがあります。

 

ブルー転はシルエットこそ見えてしまいますが、上のデメリットがほぼ当てはまりません。

さらに、蓄光シールを貼らなくて済むというメリットもあります。

そして、観客はシルエットが見えることをさほど気にしていません。

ブルー転に置き換えられない暗転は「死体がハケる時のみ」と考えています。

 

とは言え、もちろんブルー転より暗転のほうが効果的な場合もありますし、観客の小休止のためにあえて暗転するという考え方もあります。

 


 

ざっとそんなところでしょうか。

これから演出家を目指す人たちの参考になれば幸いです。

 

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