「漫画村」が炎上しながらも大きな注目を浴び、「小説家になろう」がなろう系(笑)と笑われながらも日本有数のサイトとなった状況を眺めていると、エンタメはいよいよ「基本無料」が当たり前になりつつあるんだなあと感じます。
漫画村がニュースになった時には、
「対価を支払う習慣を身に付けさせることが重要」
という意見が多くの支持を集めました。
それはその通りだと思いますが、ぶっちゃけ僕もYouTubeで音楽を聴いたりします。
そんな状況下で各業界、マネタイズの方法を模索しているわけですが、演劇は依然、お高くとまったままです。
仕方のないことではあります。
演劇の燃費の悪さはハンパじゃありません。
よくある3000~4000円というチケット代は暴利でなく、出費から逆算すると自然にそうなるのです。
しかし、消費者は製作の事情なんか知ったこっちゃありません。
役者に友達でもいない限り、3時間以上(移動時間含む)かけて3000~4000円払ってアマチュアの発表会なんか見ようと思うはずがないのです。
エンタメの無料化が加速している今、一般人の演劇離れはさらに深刻化するだろうと予想します。
「予算はどうしてもかかる」
「ライブでしか味わえない感動がある」
これらはずっと昔から言われ続けていることで、真実ではあるのですが、日々刻々と変わっていく状況の中、真実ばかり振りかざしていてもしょうがないのです。
チラシを作って、
他劇団のパンフに折り込みさせてもらったり劇場のラックに置かせてもらったりして、
公演情報サイトに登録して、
役者にラインやメールでのお知らせをせっついて、
ツイッターで宣伝して、
感想ツイートをリツイート。
「やれるだけのことはやっている」
「俺たちが売れないのは運が悪いだけ」
そんな風に考えている劇団がきっと数え切れないほどあります。
と言っても、ただ奇抜なことやりゃいいってもんでもありません。
「名案」の成功率は冷酷にジャッジすべきです。
小細工を弄するよりも、それにかかるであろう予算を動員力のある役者のギャラに回したほうが遥かに効果的という可能性はかなり高いです。
2.5次元を含む商業演劇は、お高くとまりっぱなしですが、滅びることはないでしょう。
なぜなら、もともと「基本無料」の延長線上にあるコンテンツだからです。
テレビやスマホで見ていた憧れの存在が立体的に動くのを間近で観られるのだから、ファンが大枚をはたくのは当たり前です。
今のところ何者でもない人たちによる高価なエンタメをどうやって売り込むか?
これまで以上によく考えないとすぐ行き詰まる時代が来ています。
小説家になろうがあんなに流行ってるということに小劇場界は何か学んだほうがいい気がする。いつまでもマイナーな理由は、作品のクオリティではないのかもしれない。
— 森山智仁 (@bacoyama) 2018年5月2日