藪漕ぎ登山のここがヤバい
日本縦走の途中、北アルプスの南端・乗鞍岳に丸黒尾根で登ってきました。
乗鞍岳は山頂のすぐそばまで車で登れ、3000m級の中では初心者向けとされていますが、丸黒尾根というマイナールートは完全に魔境でした。
藪漕ぎ自体は初めてではなく、青森の白神岳でも結構長いやつを経験しています。
当時は「こんなにヤバい藪漕ぎはそうそうないだろう」と思っていました。
ところが、丸黒尾根は完全に格上。
白神岳の藪は、視界こそ悪いですが、普通のスピードで歩けているだけ全然マシです。
丸黒尾根は予定の1.6倍の時間がかかり、泊まるつもりだった奥千町避難小屋まで明るいうちにたどり着けず、途中でビバークしました。
動画
ヤバいのは
「こちら向きに倒れ込んできている笹の茎の束」です。
圧が強く、かなり力を込めないと進めません。
突っ切れない場合は足を大きく上げて踏み越えるのですが、登り坂で踏むと後ろ向きに滑ります。
こちら向きで倒れ込み、かつ途中で折れている固い茎は、顔を刺そうとしてきます。
目を狙われて仰け反ることが何度もありました。
RPGでいうと、滑る床とダメージ床の複合みたいな感じです。
さらに、トラバースでは、多くの茎が谷へ倒れ込んでいるので、谷側へどんどん流されます。
丸黒尾根には明確なトラバース区間は無いのですが、尾根の曲がり角をうまく曲がれず、一時的にトラバースになってしまい、危うく谷へ落とされるところでした。
ちょっと尾根を外れただけであいつらガンガン落とそうとしてきます。
しかも、雨の後、藪はたっぷりと水滴をつけており、触ればそいつをダイレクトに寄越してきます。
歩いた時、雨は降っていなかったのに、土砂降りぐらいの濡れ方になりました。
あと、藪が濃いということは、あまり人の手や足が入っていないということでもあり、倒木の数が一般道の比じゃありません。
乗り越えるのも迂回するにも体力を消耗し、そのたびにルートを見失いそうになります。
GPSが無ければたぶん普通に迷っていました。
付け加えると、感染症の恐れのあるマダニにも要注意です。
藪に接している場所では立ち止まらず、開けた地点まで動き続けるのがベターと考えられます。
熊なんかに遭う確率も一般道より高いかもしれません。
藪漕ぎは
短ければ冒険みもあるのですが、何時間もやっていると「いつ終わるんだこれ……」としか思わなくなります。
つらいだけでなく、普通に危険(特にトラバースで流される点)なので、興味本位でチャレンジしないほうがよいでしょう。
もう僕もなるべくやりたくないです。