それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

舞台「このへら」の日替わり要素はどこにあったのか

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舞台『この事件を報道する機関を日に一社ずつ減らしてください』ご来場ありがとうございました。

今回は以前ツイートしたこちらの件についてです。↓

 

とんでもなく地味なので、リピーターの方々もなかなかお気づきになられなかったのではないでしょうか。

 

答えは、

「開演から約4分後、"奥さん"に群がる報道陣の並び順」

です。

 

演劇の日替わり要素と言えば、小道具やギャグが違うとか、インプロの挿入とか、リピーター向けのサービスが一般的です。

誰も気付かないようなことを日替わりにしても、エンタメ的効果は何も発生しません。

 

この狙いは、

「役者に毎回新鮮な気持ちで演じてもらうため」

です。

 

あの並び順をランダムにすると、直前の入り乱れた移動もランダムとなります。

つまり、決まったコースを通ることができず、その都度最適な軌道を考えながら歩くことを強いられます。

役者は正直イヤだったかもしれません(・∀・)

 

役者にとっての大敵はマンネリ化です。

毎回初めて演じるかのように心掛けていても、実際には稽古から何度も繰り返してきているわけですから、どうしても鮮度は失われていきます。

以前どこかで「演技は本番を通してどんどん良くなっていく」みたいな説を聞いたことがありますが、それって、

  • 客席の笑いでギャグに自信がついた
  • 単純に初日の完成度が低いだけ

のどちらかだと思っています。

初日にきちんと完成されたものを持ってきたなら、あとは劣化させないことだけが重要です。

 

そこで、序盤にランダム要素を仕込み、新鮮な気持ちを刺激してみたわけです。

僕が見た限り、この作戦はそれなりに効果があったと認識しています。