それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

塔ノ岳・鍋割山に行ってきました

丹沢3連戦計画の2戦目、塔ノ岳・鍋割山に行ってきました。

数日前まで雨の予報だったので、無理なら東京タワーで歩荷トレーニングでもしてみようと思っていたのですが、運良く晴れてくれました。

 

今回のコースはこちら。

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  • 全長:16.8km
  • 上り:1365m
  • 下り:1845m

丹沢のビジターセンターで例として紹介されている「表尾根縦走コース」から、鍋割山まで足を伸ばしたものです。

塔ノ岳〜大倉の道は3戦目で歩く予定なので、違う道を歩いておきたいというのが主な理由です。

 

家から山まで

朝6:00起床、8:00過ぎに小田急線の秦野駅に到着。

スーパーで素早く食糧と飲み物を買い揃え、焼そばパンとかいう元祖頭悪いフードを頬張りながらヤビツ峠行きのバスを待ちます。

平日にもかかわらず登山客が結構いて、僕の前でちょうど席が埋まり、座れませんでした。

今思うとここから約1時間立ちっ放しだったのは体力的にそれなりのロスでしたが、晴れたのだから多少の不運は構うまいと思っていました。

 

バスが山道に入ると、運転手さんがマイクで、事務的じゃない口調で、「ヒルに気をつけるように」という話をしてくれました。

現在大量発生していて、こういう雨の翌日あたりは特に増えるそうです。

噛まれたら塩水、なければ血を吸い終わって勝手に離れるまで待つこと。

上からは落ちてこなくて(重要)、地面にいるということ。

帰りのバスに乗る前に足もとを払って町に連れ込まないこと。

ヒルへの警戒は正直怠っていたので、この解説はだいぶ助かりました。

 

9:15、バスを降りて運転手さんの忠告通りにズボンの裾を靴下にインしていると、ちょうど「俺だぜ」と言わんばかりにだいぶ大きなヒルが近寄ってきました。

実物を見たのは初めてだったのでだいぶ戦慄しましたが、認識している範囲では、幸運にもこの日のエンカウントはこれが最初で最後でした。

 

さて、ヒルにおののく僕とは対照的に、登山客の皆さんは慣れた方がほとんどのようで、バス停のベンチで一斉に靴紐を結び直しています。

「フッ、俺もそのつもりだったもんね……」と、あまり意味のないことを考えながら、ヒルと出会ったところからちょっと移動して、靴紐を結び直し、アキレス腱などを伸ばします。

 

先週の大山はケーブルカーの存在もあって終始賑やかで、急勾配のわりには「観光地」の雰囲気がありましたが、今回はバスを降りたところからいかにも「山」という感じでした。

乗客たちはそれぞれの目的地へ向かい、同じ方向へ行く人もそれぞれのペースなので、あっという間に周囲に誰もいなくなります。

人の流れについていけばヨシ!の世界ではなかったので、頻繁に地図を確認していました。

基本的には要所要所に看板が立っているのでそれに従って行けばいいわけですが、そもそも地名を見慣れていないので、自分の次のチェックポイントはどこなのか都度確認する必要があります。

「ノーミスなら遭難しないはずだけどワンミスで遭難する」という単純明快な事実を強く認識しました。

 

歩行開始

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バス停から30分ほどは舗装された道。

 

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チップ式公衆トイレの角から山道に入ります。

 

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木々の「間」を進んでいくと、

 

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やがて木々の「上」に出ました。

 

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11:00、三ノ塔からの眺め。

これから、山頂と山頂を繋ぐように、尾根を歩いていくわけです。

 

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登るばかりでなく、急な下りもちょこちょこ挟まってきます。

左右とも急斜面で当然ガードレールなどなく、風が結構あったので、道が細くなっているところはなかなかスリルがありました。

 

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三ノ塔から小さく見えていたかわいい烏尾山荘を通過。

 

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12:00、漫画『山を渡る』の名シーンの鎖場。

 

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休み休み登っていきます。

 

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整備された道が続いたかと思えば、

 

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一瞬行き止まりかと見間違えるようなところもあって、変化に富んでいます。

 

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左からジンオウガ飛び出してきそう(・∀・)

 

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13:00過ぎ、塔ノ岳を登頂。

今日のルートで標高はここがMAXですが、あいにくの霧で何も見えません。

 

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尊仏山荘でオレンジジュース(300円)とカップヌードル(350円)を買い、スーパーで買ってきたおにぎりと合わせます。

おにぎりとカップヌードルのマリアージュは神。

 

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少し降りると視界が開けてきました。

景観が山のすべてではないと思うものの、見えるとやはり気分が違います。

 

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15:00、第2主要目的地の鍋割山に到着。

自撮りが下手過ぎて草も生えませんが眺めは最高です。

 

 

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さてここからは下るばかり……というのは完全な思い込みで、まだまだアップダウンが続きました。

等高線をちゃんと見ていなかったが故の誤解であり、よりハイレベルなスケジュールを組む際には注意しないといけません。

 

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日没まで時間はまだありますが、山で少しでも陽が傾き始めると、平地の何倍も焦燥感があります。

ヘッドライトも予備電池もあるので、最悪暗くなっても大丈夫と思えたのは大きかったです。

本当に暗くなった時の備えというより、焦らなくて済むことが装備の真価なのかもしれません。

これは雨具も同様です。

 

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他の登山者は鍋割山の山頂にて見かけたのが最後で、終盤の約3時間は完全に孤独でした。

 

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時空が捻れていそうなゲートの正体は……

 

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人里に獣が入ってくるのを防ぐためのものでした。

 

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人家の見える安心感。

ここまで来ればあとはバス停を探すばかりです。

ほとんど獣道のようなところも歩いてきたので、舗装された道の歩きやすさに驚きます。

 

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18:30、寄のバス停に無事到着!

次のバスまで30分以上あったので……

 

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すぐそばにあったお店でまぐろの漬け丼をいただき、帰宅までのエネルギーを補給しました。

 

今回の食事

持っていったのは、

  • 飲み物:お茶とスポーツドリンク計3ℓ
  • 食べ物:おにぎり2個&唐揚げ&卵焼きのセットとおにぎり単品1個
  • 行動食:練り梅とクリーム玄米ブラン
  • 非常食:スニッカーズ

でした。

 

飲み物はあまり残量を気にせず飲んでトイレが不安になることもなく、最終的に0.5ℓ余ったので、ちょうど良かったのだと思います。

残量が気になったのはYAMAP(位置確認ではなく記録に使用)を起動させたままのスマホで、次回から充電器必須です。

 

塔ノ岳の山頂でカップヌードルを買った上(予定外)、ゴール地点でまぐろの漬け丼を平らげられたということは、食べ物はちょっと足りなかったようです。

朝食が不十分というのもあったかもしれません。

 

行動食はしょっぱいの×甘いのというお気に入りの組み合わせです。

なぜこの夏場にスニッカーズのような溶けるものを非常食にしたのかは謎です。

 

山と寄のバス停の間で、農作業をしていたおっちゃんに話しかけられ、収穫したばかりのスティックブロッコリーをひとつかみいただきました。

 

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家で茹でてみると、ちょっと白っぽかった色がパッと鮮やかに。

醤油マヨネーズが良く合い、茎の歯応えが心地よくてやみつきになります。

こんな野菜があったとは知りませんでした。

 

おっちゃんに

「今日はどちらから?」

と聞かれて、

「ヤビツ峠からです」

と答えると、

「それは健脚です!」

と言われ、だいぶ嬉しかったです。

山は誰かと競うものではないとは言え、どうせなら強いプレイヤーになりたいと思っています。