それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

演出助手って必要?

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稽古場に欠員が多くて面倒……という夢を見て思い出したので、忘れないうちに書いておきます。

演出助手は必要かどうかという話です。

 

結論から言うと、

①役者が全稽古に全員いる

②雑務を分担する体制が整っている

③スタッフと円滑にコミュニケーションが取れている

④客席数150ぐらいまでの規模

なら、まったく必要ないと思います。

 

僕は何度か演出助手についてもらったことがありますが、正直要りませんでした。

やってもらうことがあまりなくてお互い気まずかったです。

当時は「助かったよ」と言っていましたが、ウソでした。

申し訳ない。※自発的に動いてくれて助かった人もいます。

 

じゃあなんで演出助手つけたのかというと、確か「うちも規模大きくなってきたからそろそろ演出助手つけたほうがいいんじゃないの?」みたいなイイカゲンな理由だったと思います。

ガバガバ人事ほんとだめ。

何が必要で何が不要かは自分の頭で考えるべきです。

 

前述の①〜③についても、条件が揃えば不要となります。

①役者が揃わないことが多いなら演出助手が回覧ノートを取るわけですが、演出家があらかじめ考えをまとめてプリントとか用意できるならいらないはずです。

②バミリや代役やプロンプをさせられないVIPな役者ばかりなら演出助手がそれらをするわけですが、どれも役者自身のほうが向いていると思います。

特にプロンプはわかってる人じゃないとセリフが飛んだのか意味のある間なのか判断できません。

地味に煩雑なのが小道具の調達ですが、演出家が自分でリスト作ったり役者が自分で用意したりできるなら演出助手はいらなくなります。

③演出の意向を各スタッフに伝えるのが演出助手の仕事、みたいな風によく本とかに書いてあった気がしますが、改めて考えると他人を挟む意味がわかりません。

 

演出「ここに新しくハケ口が欲しい」

演出助手「わかりました」

演出助手「ここに新しくハケ口が欲しいそうです」

舞台美術「わかりました」

照明「そこ機材置くんですけど」

演出助手「言っときます」

演出助手「ここ照明さんが機材置くらしいです」

演出「どかせないの?」

演出助手「聞いてみます」

演出助手「どかせませんか?」

照明「こういう灯りが作れなくなるんだけど」

演出助手「言っときます」

演出助手「こういう灯りが作れなくなるそうです」

演出「……」(別のこと考えてて聞いてない)

音響「あのー、なんかハケ口増やすかもって話、聞いてないんですけど」

演出助手「えっ」

音響「そこスピーカー置こうとしてます」

演出助手「すいません、言っときます」

演出助手「照明さんだけじゃなくて音響さんも機材置きたいそうです」

演出「何とか説得して」

演出助手「えっ」

制作「あのー、そこに通路作ると客席数減りませんか?」

演出「あっ、ほんとだ」

演出助手「……」

演出「じゃあやっぱ無しで」

舞台美術「ハケ口増やした図面できました!」

演出「やべえ」

演出「代わりに謝っといて」

 

クソが。

 

どう考えても演出家自身が「誰に相談すべきことか」判断して直接相談するのがベストです。

人を一人挟むせいで、無駄な時間・エネルギー・ストレスが発生しています。

会社組織のことはよくわかりませんが、想像するにこういう無駄ってかなりあるんじゃないでしょうか。

 

なんか、演出家様は天才だからあらゆる雑事から解放して作品に集中させてあげるべき、みたいな風潮があるのでしょう。

多くの場合で間違った考えだと思います。

そういうタイプの天才もいるのでしょうし、僕は違ったからそう思うのかもしれませんが。