それにしても語彙が欲しい

脚本家・フリーライター森山智仁のブログです。毎週土曜or日曜(&気まぐれ)更新。

「公演中止でも映像で配信すればよくない?」

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演劇人同士で「配信じゃ伝わらない」「だよねだよね」って言い合って、外部からは冷めた目で見られている。

―― #演劇の死 を含むツイートを見ていて、そんな状況になっていないか危惧します。‬

 

‪目指していないなら知らないことは罪ではありません。

たとえば僕は建築の妙味を知りませんが、それで誰かから責められる謂れはありません。

一般人が演劇の妙味を知らない‬ことについて、演劇人が「わかってないなあ〜」みたいな言い方をするのは、反発を招くだけではないでしょうか。

※もし誰一人そんな言い方をしていないならこの記事はいわゆるストローマン論法になります(・∀・)

 

いま、演劇に対して「自分たちが特別だと思うな」「傲慢だ」と感じている人は、おそらく金輪際劇場に来ないし演劇にお金を使わないでしょう。

既存のファン以外全員と敵対したらその時こそ #演劇の死 です。

何故なら、今まで以上に新規を取り込まないとピンチだからです。

公演中止→引退する人が続出すれば、それすなわち観劇人口の減少です。

演劇を観ているのは多くが演劇人であるという事実は認めないといけません。

 

「配信すれば?」

と言われた時、

「いや、演劇ってのはさぁ……」

じゃなくて、

「次回からやるわ!」

とか、

「DVDあるけど買ってくれない?」

と反応していれば、その人がファンになってくれる可能性もあったはずです。

 

初心者が興味を持つのは解説ではなく実物です。

解説が充実している美術館は素晴らしいと思いますが、美術品がなく解説プレートだけが並んでいる謎空間には美術マニアしか立ち寄らないでしょう。

我々演劇人は舞台が映像化された時にどれだけ目減りするかを知っているだけに、

「映像だけ」見せることを恐れていますが、とりあえず見せりゃあいいんじゃないでしょうか。

それで「くそダサ」と思われてもしゃーなしです。

 

映像で「演劇面白い!」と思われるかもしれません。

その時「いや、君はまだ本物を観ていないんだよねぇ……」なんてオタク臭いことを言われたら、結局その人は演劇から離れていくでしょう。

 

つい先ほど、映像化で大きく目減りするということを書きましたが、もしかしたら普通の人には違いが感じ取れないかもしれません。

仮にそういう人がいたとして、別に責められることではないはずです。

演劇人は「劇場で観てよ〜」と思うものですが、お客さんが「DVDでいいや」と言っていて、チケットと同額で買ってくれるなら、何も問題はないのではないでしょうか。

その売上を使って、劇場で観たい人向けのコンテンツを充実させればいいわけです。

 

変化についていくこと

YouTubeが伸びてきた頃から(違うかも)、音楽はCDから配信に移りました。

フルバージョンのPVを無料公開しているアーティストも多数います。

漫画界は、漫画村に荒らされた後、基本無料の漫画アプリが増えて、今わりと盛り上がっているように見えます。

 

絶対にCDでしか聴けない音楽、あるいは絶対に紙でしか読めない漫画の新作が登場したとして、それが売れているところは想像できるでしょうか?

僕はどんなに傑作でも無理だと思います。

 

漫画をスマホで読んでもらうことや、フルのPVを無料公開することについて、少し前は抵抗を感じる作り手も多かったでしょうが、今ではすっかり当たり前になっています。

というか、それ以前に、音楽をライブ会場以外で聴いてもらうことに、昔の音楽人たちは相当抵抗があったはずです。

 

漫画や音楽は時代の変化に対応してきました。

演劇は、どうでしょうか。

いつまでも「劇場でしか感じ取れないもの」に固執していていいのでしょうか。

 

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