公演中止の場合はぜひクラウドファンディングやライブ配信の活用を
コロナウイルスを警戒しての公演中止、公共系や商業系だけでなく、小劇場でも数例目撃しました。
公演を中止するとどうなるか
小劇場の公演予算は著書にも書いた通り、例えばこんな感じです。
- 劇場使用料・電気代 80万円
- 稽古場代 10万円
- スタッフ人件費 50万円
- 音響・照明機材費 30万円
- 舞台美術デザイン料・製作費 40万円
- 衣装・小道具費 10万円
- 搬入搬出車両代 10万円
- 宣伝費 10万円
初日直前まで準備して突然中止した場合、この支出250万円が丸々赤字になります。
非常事態だから劇場費は免除されるべきではないかとお考えの方もいらっしゃると思います。
公共系のホールなら可能でしょうし、実際無料にしているケースもありました。
ぽんプラザホールでは、国の新型コロナウイルスの感染症対策本部が決定した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」や福岡市の「不特定多数の人が集まるイベントへの対応(当面1か月間に福岡市が主催するものは,原則中止もしくは延期)」等を踏まえ、感染拡大防止を目的として、施設利用の中止または延長の申し出があった場合には、キャンセル料は不要(無料)とし、納付済みの使用料については全額還付(返金)とします。
適用期間:令和2年2月21日から,令和2年3月20日の間の利用分
※令和2年3月21日以降の取扱いは改めてお知らせいたします。詳しくは、ぽんプラザホール受付までお問合せください。
しかし、私営だとなかなか難しいと思います。
数十万〜百数十万の赤字を黙って被れというのも酷な話です。
免除でなく減免を検討しているところはあるでしょう。
スタッフの人件費も「仕事無しになったから0円です」というわけにはいきません(いかないはずです)。
公演期間だけが仕事ではありませんし、スケジュールを空けてもらっていたわけですから支払うべきです。
さじ加減はスタッフの格や関係性によるでしょうけれど、おそらく僕がスタッフなら「半額だけください」と言うと思います。
要するに、公演中止(延期も含む)による赤字は解散に直結するレベルの大打撃です。
支援が必要
現代演劇ウォッチャーの高野しのぶさんは「国」に支援を求めていましたが、
僕は団体や個人の「ファン」の支援が力になると考えています。
どういう支援の形があるのか
ファンが「支援したい」と思っても、まさか郵便で現金を送るわけにはいきません。
団体が支援を受ける体制を整える必要があります。
一つには、無観客公演をライブ配信してお金を出していただく方法があります。
もう一つ、クラウドファンディングで資金提供を募るという方法もあります。
個人的には、「予約されていたすべてのお客様にライブ配信を見てもらうのはかなり難しいはずなので、ライブ配信とクラウドファンディングを併用して、クラウドファンディングの"リターン"としてDVDを送付する」という形が良いのではないかと考えます。
※そういったことが実現可能かどうかは各公式にお問い合わせくださいm(_ _)m
支援が必要なことは確かなわけですから、団体は堂々と助けを求めていいはずです。
もしかしたら「今はお金なんてどうでもいい……」という心理状態かもしれませんが、再起のためには必ずお金が必要になります。
浅ましいなどと思わずに支援受付体制を整えてください。
そして、ファンの皆さんは、見かけたら助けてあげてください。