それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

もはや自己責任では済まされない気がする

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先月、こんなニュースを読みました。

 

 

相当クリティカルな話だと思ったので、さほど話題になっていないのが意外でした。

業界関係者の間ではすでに周知の事実だったからでしょうか。

 

 RSNへの2018年度相談件数は5795件にのぼる。月平均で483件。稼働は平日のみなので、1日当たり約24件もの相談が来るという事になる。これは、やはり過去最大だった昨年度の4923件を大きく上回るものだ。

 この相談が大きく増えた背景には、ギャンブル等依存症対策がマスコミ等に大きく取り上げられ、世間の関心が急速に高まったことが挙げられる。またそのような世間の関心の高まりを受け、昨年までは10時から16時であった相談時間を、22時まで6時間延長したことも大きな理由であるし、全国のパチンコ店に相談案内のポスターを掲示したことも相談増のきっかけになっている。

 RSN開設当初(2006年)は年間相談件数771件であったことをみると、パチンコ・パチスロ依存問題に対し、どれほど注目が増したのかが一目で分かる。

 RSNが5月20日に公表した、2018年度の活動報告を見ると、興味深い内容がいくつかあったので紹介したい。

 まずは、誰が電話を掛けてくるのか。

 電話相談者の8割強は本人、その他2割程度は家族や友人という。相談者(本人)のうち、男性は73%、女性が27%となっている。家族・友人のカテゴリーでは、配偶者や親が全体の60%を占めており、子供・兄弟が19%、恋人・友人が18%と続く。

 相談内容はそのほとんどが、「パチンコをやめ(させ)る方法を知りたい」というものであり、相談全体の70%を占める。

 このような相談に対しRSNは、

①相談者が利用できる公的機関や民間団体の紹介(40%)
②相談者本人による解決の促し(60%)

 のどちらかを行っている。

 

 その中で、筆者が特に注目したのは、相談者のうち「ぱちんこ以外の関連問題」を抱えている人がとても多かった事である。

 報告書によれば、以下の通りだ。

(2018年10~12月の相談より)本人の初回相談776件のうち、408件でぱちんこ以外の問題の有無について聴き取ることができた。ぱちんこ以外の問題が併存していたのは161件(39%)であった。(問題の内容については複数回答を含む)

 ぱちんこ以外の問題の内訳は、問題があった161件のうち、統合失調症うつ病発達障害双極性障害など「狭義の精神障がい」が91件(57%)を占めていた。次いで多かった「その他」には、

”①「狭義の精神障がい」以外の精神的な問題(うつ状態、人格障がい、不安障がい、適応障がいなど。医師の診察によらない本人申告を含む)
②精神科の医療機関に通院中だが、病名を告知されていない
③精神科の医療機関に通院中だが、相談電話では病名を明かしたくない
④精神科の医療機関に通院していないが、相談の会話のなかに不眠や気分の落ち込みなどの症状の訴えがある、という4つのカテゴリーに該当する相談が含まれる。”
(認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワーク 2018年ぱちんこ依存問題電話相談事業報告書21ページ)

と記されている。

 

hbol.jp

  

遊技産業は、

  • ピークの3分の1程度まで落ち込んだとは言えまだまだ大規模
  • 世間からはひどく嫌われている
  • 実質ギャンブルなのに建前上はギャンブルではない

といった数々の特殊性を帯びていますが、

  • ユーザーの一定数がもうやめたいと思っている

というのが特に奇異な点であり、この点に、

  • その中の一定数が狭義の精神障がいを自覚している

という要素が加わっただけです。

 

これはあくまで「RSNに電話するだけの判断力が残っている人」の中でさらに「RSNの担当者が問題を聴き出せた人」なので、実際に狭義の精神障がいを抱えているユーザーはもっと多いだろうと想像します。

 

平たく言うと、精神的に弱っている人を食い物にしている事実が数字に表れたわけです。

 

僕は基本的に物事を自己責任で考えています。

が、これはさすがにやり過ぎではないでしょうか。

精神的に弱っている人が依存するケース、依存した結果として精神的に弱ってしまうケース、両面が考えられますが、だらしない人は負けてもしょうがないでは済まされない状況だと感じます。

苦しんでいる人の貴重な娯楽とか受け皿であるなら評価されるべきですが、RSNに電話しているわけですから、その人の中ですでに娯楽ではないわけです。

 

RSNのポスターを店内に貼るとか、自己申告プログラムのような対策は今でも行われています。

出玉のほうも昨年規制が強化されましたが、スペックより音量・光量の制限を厳しくすべきではないでしょうか。

現状、あれは脳を溶かしにかかっているとしか思えないのです。

 

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