それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

劇場や映画館における「間引き」についての私見

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現在、ほとんどの劇場・映画館で座席の間引きが行われていますが、個人的には「若干ズレた対応ではないか」と考えています。

専門家からもこういった意見が出ているそうです。

 

僕の知っている限り遊技場(と上品な言い方をしておきます)では、

  • 席と席の間にクリアフィルムを設置
  • 間引きはしていない

というところがほとんどです。

あの場所も基本的に一言も喋らないので問題ないと考えています。

営業再開当初は業界団体が間引くよう言っていたようですが、6月あたりから普通に解放され、それを問題視する声はほぼ耳にしませんし、実際ユーザー間でのクラスター感染は報告されていません。

 

難しいのは、劇場・映画館の客席は遊技場に比べて元々隣と近いという点です。

肘掛けをシェアする近さがスタンダードかと思います。

 

電車もその程度の近さのまま間引いていませんが、電車も最近は全員無言で乗り降りしていて、あまり問題視されていない様子です。

かと言って、滞在時間が違うので、電車がいいのだから劇場も同じでいいだろうというわけにはいきません。

 

  • 肘掛け付き固定席の場合、肘掛けをシェアできてしまうとさすがに感染リスクが高そうなので、肘掛けを撤去あるいは完全に片方しか使えないようにした上で、座席間にクリアフィルムを設置すれば間引かなくて良い。
  • 肘掛け無し自由席の場合、隣人との頭の距離が1m程度離れていれば良い。たとえば60cm幅のイスなら40cm空けて置く。
  • いっそのことゆったりめの座席構成に改修できれば理想的。その際、従来の「半分」にまで減らす必要はない。

と考えているのですが、いかがでしょう。

 

いずれにせよ、「ユーザーが喋らない空間である」(喋らないことを徹底させる必要はある)のに「収容人数を半分にする」というのは、何とも妙な話ではないでしょうか。

 

――と言っても、

  • 舞台面から客席
  • 舞台袖内
  • 楽屋内
  • 稽古場内

といった各所に感染リスクがあるので、個人的にはまだ演劇公演を打とうという気にはなれません。

出演者数を少なくすれば下三つは対策できますが、「舞台面から客席」を対策しようとすると、何らかの無理が生じます。

また、出演者数を少なくしても、「稽古場内」の感染リスクは劇場での感染リスクがかわいく思えるレベルだと思っています。

 

家庭内感染が増えているようですが、稽古期間中、座組はほとんど家族みたいな感じになります。

現在稽古中の座組は、当然対策もしつつ、突然公演中止になる可能性を抱え込んでいるはずです。

そこまでの金銭的余裕はないし、役者にもリスクを背負わせられません。

 

延期になった5月公演『ミックスグリム』はガチの傑作であり、いつか絶対にやるつもりですが、現状、演劇を続けるために必要なのは待つだと考えています。

 

 

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