それにしても語彙が欲しい

脚本家/フリーライター・森山智仁のブログです。ほぼ登山ブログになってしまいました。

「地域おこし演劇企画」を見て思ったこと

でわの樹ぷろじぇくと・山形県地域おこし演劇企画『約束のコクテール』を見てきました。

stage.corich.jp

 

気になったのは、

「山形要素どこ?」

ということです。

 

方言以外、風物・情景・エピソードに、山形要素はまったく見当たりませんでした。

すべてを秋田県に置き換えても成立しそうです。

もっとも、「地域おこし演劇企画」と銘打たれていなければそんなことは微塵も感じなかったでしょう。

 

どこも同じ

在住の方々には唯一無二の故郷なのでしょうけれど、よほど上手に特徴を呈示してくれないと、外部の人間にとっては正直どこも同じに見えます。

  • 自然が豊か
  • 車ないと無理

この2枚のカードは「◯◯あるある」ではなくて「日本の全地方あるある」なのです。

土地の特徴を描いているとは言えません。

 

これは演劇に限った話ではなく、「地域おこし」全般に関して以前から思っていたことです。

 

土地の特徴とは

絶対に他とかぶらない要素に「歴史」があります。

しかし、役所の作ったパンフレットとか立て札みたいなことをつらつらと述べても、根っからの歴史好き以外、何のフックにもなりません。

 

そして、「歴史ある」という言い回しも封印すべきです。

赤ちゃんだった人間が存在しないように、歴史のない土地なんかありません。

 

  • 自然豊かな
  • 歴史ある

この2枚は、土地のアピールを考える時の禁止カードです。

ついでに言えばフィクションの作品紹介では、

  • 個性豊かな

が禁止カードです。

登場人物が個性豊かじゃない作品など存在しねえ。

※もっとも、これは本気で考えるならということであり、無難な文章が求められている場合は自分も普通に使います。

 

自然であれグルメであれ、そこの土地にしかない具体的な何かが必要です。

たとえば、漠然と「北へ行きたい」と思っている人がいたとして、

  • 自然が豊かだよ
  • 歴史があるよ

と呼び込まれても、山形へ行くか秋田へ行くか、少しもヒントになりません。

 

特徴に乏しい時、

 

アニメの聖地

という成功例が魅力的に見えてきます。

 

けれども、これはたまたまそういう作品が出てきてくれることを祈るか、アニメを見下していないセンスのある人たちの手でめちゃくちゃ丁寧にやらないといけません。

経済効果という下心見え見えでは失敗が目に見えてします。

 

土地をおこす決め手

そもそも、土地としては「旅行者」より「移住者」が欲しいはずです。

そして、自分が知っている範囲では、なんかPR動画とか作ったり、アニメの聖地として売り込んだりするより、手厚い子育て支援が成功しているという印象です。

これは明らかに移住の決め手となります。

その財源どうすんだという話ですが、紋切り型のPR動画とか新しい観光名所を作るよりよほど効果的なのではないでしょうか。

 

人が住めば、放っておいても魅力は発掘・創出されます。

冴えた人はどこかにいるものだし、故郷は未来永劫変わりません。

僕は今のところ豊島区に住んでいますが、生まれ故郷である八王子市に貢献したい気持ちはこっそり保持しています。